2026.02.20
2026年2月19日モーニングセミナー
2026年2月19日
第723回 経営者モーニングセミナー
講師:山形市中央倫理法人会 顧問 井上貴至 山形市副市長
テーマ:万物生々 物はこれを生かす人に集まる
ブログをご覧の皆さま、こんにちは!
本日は井上貴至 山形市副市長からご講話をいただきました。
参加できなかった会員様、入会を検討している未会員様に講話内容を通し倫理の魅力を少しでも感じていただけたらと思い、講話内容と私の感想を添えた形でお伝えします。
プロフィール:略歴
平成20年3月 東京大学法学部卒業
平成20年4月 総務省自治行政局自治政策課 同年7月総務省自治行政局地域政策課 同年8月 愛知県総務部市町村課
平成21年7月 総務省政治資金適正化委員会事務局
平成22年4月 総務省自治行政局選挙部政治資金課
平成23年8月 内閣府本府地域主権戦略室
平成24年7月 内閣府本府地域主権戦略室主査
平成25年1月 内閣府本府地方分権改革推進室主査
平成25年4月 内閣官房拉致問題対策本部事務局総務・拉致被害者等支援室主査
平成27年4月 鹿児島県長島町総務課地方創生統括監 同年7月 長島町副町長
平成29年4月 愛媛県総務部総務管理局市町振興課長
平成31年4月 総務省大臣官房秘書課課長補佐
(地方創生推進事務局参事官(総括担当)付参事官補佐(法令担当)併任)
(内閣府本府地方創生推進室参事官補佐併任)
(地方創生推進事務局参事官(構造改革特別区域担当)付参事官補佐併任)
(地方創生推進事務局参事官(総合特別区域担当)付参事官補佐併任)
(地方創生推進事務局参事官(国家戦略特別区域担当)付参事官補佐併任)
令和3年7月12日 山形市副市長 就任(現在に至る)

大阪出身で山形に来て4年半になりました。山形南高校柔道部の非常勤講師として生徒たちに投げられております。これだけ寿命が延びてきたので夢は東京オリンピック柔道100歳級で金メダルを取ることです。これまでオリンピアンからも投げられてきましたが、半世紀後には倒しますよ。と、こんなことを言っておりますが自分たちでルールや価値を作っていくというのはすごく大事です。そして、より良い人生を送るためには頭で学ぶだけでなく身体を適度に動かすことも大切です。
山形に来てこの地は恵まれた地だと実感しています。山登りや自転車、スキーに気軽に行けたり、仕事帰りにぱっと温泉に入れるというのもすごくいいなと思っています。プロオーケストラや国際映画祭などの芸術面、また食文化がすごく多彩です。何かを見たり・やったりすることで判断力や集中力、持続力や決断力など経営者のみならずとも必要な能力が身に付くことで喜びや感謝、多様な仲間ができることはすごくいいなと感じています。
スキージャンパー葛西選手のレジェンドストレッチをすることでアンチエイジングも実践中。
東北芸術工科大学(芸工大)の卒展は山形の誇れることです。芸術デザインは全ての学問に共通。そこから発展して生活のあらゆる分野で楽しませたり、便利にしたり、快適にしたり、持続させる貴重な資源。それが山形市にあることが強みだと感じる。日本には少ない、この強みを増やすことが万物生々だと思う。

日本は東京一極集中。生活自体が窮屈なために東京は新しい発想がうまれづらい。地方は課題がはっきりする。それを解決すると新しいビジネス、いろんな仲間ともつながったりする。新しいことを起こすのは地方が良いと思う。
今後はデジタルを活用し東京だけでなく多極分散国家にならないといけない。山形はその受け皿に適していると思っています。とはいえ、人口が減ってくる中で常に意識しているのが7つ。
•未活用の人材(女性、若者、高齢者、障害者、外国人の登用)
•デジタル、ロボット、AIの活用
•デザイン要素
•想いのシェア
•広域連携
•都市圏域を拡大=都市機能の維持・向上
•観光来県人口の増加

山形市の2大ビジョン
①健康医療先進都市・文化総合都市
人口あたりの医療資源が充実している。重粒子線がん治療施設があるのは北日本で唯一。
②文化創造都市
山形交響楽団や山形国際ドキュメンタリー映画祭、芸工大などの文化資源がある。それを生かして、経済や教育と結びつけた新しいものを生み出していこうというのが、文化創造都市の発想。まさに万物生々です。
山形市の人口減少率は東北・北海道の中核市の中で、人口減少の幅が最も小さい。2050年には多くの都市が人口6割になる中、山形市は8割超を維持する見込み。これが大きな強みとなっている。
健康寿命は「健康医療先進都市」を掲げた結果、健康寿命が実際に伸びている。この10年間、コロナ禍の影響で多くの都市で健康寿命が短縮する中、山形市は延伸を達成した。
介護保険料は要介護認定者が減少し、介護保険料は東北で最も安くなっている。最も高い大阪市と比較すると、年間で4万4千円から4万5千円の差があり、これは山形市民にとって実質的に年間4万円の給与増に等しいと捉えることができる。
広域連携は山形市周辺の町村と連携し、斎場などの施設を共同で運営する広域連携を進めている。
ウォーカブルなまちづくりとして、山形中心市街地に椅子やテーブルを設置し、人々が滞在しやすい空間を創出している。
健康増進アプリ「SUKSK(スクスク)」は歩くとポイントが貯まるアプリをリニューアルし、AIと連携させている。半年に一度景品が当たるなど楽しみながら健康増進を図る仕組みを導入している。
霞城公園の堀の周りを歩きやすく整備し、水辺空間の魅力を高めるプロジェクトを進行中。
同時に御殿堰東側も延伸し、水の流れる空間を整備している。
やまがたクリエイティブシティセンターQ1の更なる活用や過去400年間にわたり大きな震災や戦災がなかった世界でも稀有な都市である歴史的背景を活かし、古い住宅や旅館をリノベーションする取り組みが全国から注目されている。東北芸術工科大学の学生もデザインや建築で関わり、驚異的な入居率を達成。学生が街中に住むことで、中心市街地の活性化に貢献している。
図書館で除籍された古い本を処分せず、自由に持ち帰れる「本のひろば」を設置。山形駅西口や市役所から始まり、全国に広がりを見せている。これは究極のリサイクルとして、ほとんど費用をかけずに実施可能です。寒河江駅や大石田の駅にも同様の施設が設置され、蔵王駅では東海大山形高校の生徒が自主的に本を持ち寄り「蔵王駅の本の広場」を設立した。
「万物生々」の思想に基づき、捨てるのではなく活かす取り組みとして展開している。

山形中心市街地の歩行者通行量は過去最高を3年連続で更新。政令指定都市を除く地方都市で唯一、地価が10年連続で緩やかに上昇。これは山形市の魅力が高まり、民間投資が進んでいる証拠である。
病院、産業、教育、文化、スポーツといった都市機能を整備し、それらを公共交通で結ぶことが、都市が生き残る上で最も重要であると考えている。
移住・観光への効果として、雪道の運転に不安を感じる移住希望者や観光客にも選ばれる都市を目指す。公共交通が充実すれば、飲酒後も電車で帰宅できるといった利便性も向上する。
国土交通省の推計によると、自家用車1台の年間維持費は約70数万円。山形市の保有台数を掛けると約1500億円に上る。この費用の多くはガソリン代や自動車購入費として地域外に流出している。山形市のGDP(1兆円)のうち、約1000億円が毎年自動車関連で失われているという分析結果が出ています。この資金を地域内で循環させることが極めて重要である。
新駅設置においては、山形大学医学部や東北芸術工科大学、住宅地に近接するエリアで現在新駅の準備を着々と進めている。駅間が長すぎる点を問題視し、既存の路線を活用した新駅設置や、運行本数を1時間に1本から2本、3本へ増便することで利用促進を図るべきだと提言している。また楯山駅の北口設置や現在南口しかない楯山駅に北口を設置することで、モンテディオ山形のスタジアムへのアクセスが向上する。仙台方面から電車で来て、シャトルバスを利用するルートが最適解になり得ると考えている。
日本で唯一オーケストラを持つ市の特色を活かし、駅の発車メロディーに採用している。
山形駅東口、西口、市役所などをデジタルサイネージで結び、情報提供を強化している。
AIを活用した相乗り交通システムを導入。ミュニティサイクルは地元企業からの寄付も活用し整備。冬場は利用が減少するものの、年間で約1万8000回利用されている。特に駅と大学間の利用が多い。
平日しか使用しない公用車を、土日に観光客や市民向けにカーシェアとして提供し、資産を有効活用している。
虫食い状態になっている駅前の土地を有効活用するため、駅の東西自由通路や駅前広場の整備を進めている。新幹線が1時間に1本しか来ないことを逆手に取り、新幹線の到着に合わせて花笠踊りで乗客を出迎えるなど、独自のおもてなしを企画し、これらの投資が呼び水となりホテルが開業するなど、新たな民間投資が生まれている。
旅行者のニーズに応え、コインロッカーを山形駅東口に設置。2026年3月には西口にも増設予定。

山形は、豊かな自然、良質な水、そして職人気質に恵まれており、優れた産品が数多く存在します。
ラーメン消費量で日本一を獲得。蕎麦も実質的に日本一であるとの認識だが、総務省の家計調査では「そば・うどん」として合算されているため、うどん消費量の多い高松市に及ばない。「うどんと蕎麦は全く違う食べ物」として、統計を分離するよう総務大臣や統計局長に強く要望中。次回の統計調査で分離されれば、山形市が「蕎麦消費量日本一」になる可能性があると期待している。
ナショナルジオグラフィックでは「2025年、世界で行くべき25の旅行先」に日本で唯一山形県が選出。これは山形市の精神性、文化性、歴史が高く評価された結果である。
持続可能なまちづくりの取り組み(無散水消雪によるエネルギー活用など)が評価され、「The Japan Times Destination Region 2025」に選ばれた。
インバウンド誘致とプロモーションとして海外向けのプロモーションを強化し、東北芸術工科大学と連携して蔵王でワークショップなどを開催している。スキー場では、団体客を待たせないように事前予約制を導入し、混雑の平準化を図っている。蔵王の樹氷や、電線地中化を進めて景観を美しくした山寺などをアピール。道の駅は年間来場者数が150万~160万人に達し、東北屈指の観光地となっている。
山形市には東北芸術工科大学(芸工大)や山形大学といった優れた大学が存在するが卒業生の県内定着率が低い(山形大学:20数パーセント、芸工大:20%弱)という大きな課題がある。このため、市内の企業に対して、インターンシップの受け入れや積極的な採用を呼びかけています。重要なのは「仕事があるから人材を取る」のではなく、「良い人材が仕事を作り、価値を高める」という視点。

山形市売上増進支援センター「Y-biz(ワイビズ)」では、シニアマネージャーを配置するなど体制を強化しており、企業の活動を後押ししています。また、2026年3月には北部産業団地の分譲も開始されるため、企業の拡張や新規進出を奨励しています。
山形市は女性活躍、男性の育児休業取得、DXなどを推進しています。広報誌で地元企業で働く若い社員に焦点を当て、BtoB事業など、優れた地元企業の魅力を伝えています。
資生堂と連携したワークショップを実施。卒業生が主体となり、食育や自己啓発など業界を超えたプロジェクトが生まれています。
男性の育休取得は、子どもの能力発達、夫婦関係の良好化、妻の就業支援に加え、中長期的には柔軟なリーダーを育て、組織をよりしなやかにするメリットがあります。
市内小中学校(全51校)では電子黒板の導入や、子どもが朝の気分をタブレットで表明する「心の天気」により、教員が悩みを早期に把握できる体制を構築。また、保護者との連絡ツール導入で業務を効率化し、教員が人と向き合う時間を確保しています。
歯の健康は全身の健康に繋がるため、虫歯になる前の定期的な検診(半年に1回程度)を推奨しています。
市公式のメルカリShopsを開設し、市民に再利用を推奨。学校の備品なども出品し、リユース文化を広げています。
「ちりも積もれば山となる」の発想で、市民協働を進めています。これこそ万物生々。

山形市は「地方都市の奇跡」であり、市民一人ひとりがその魅力を伝える「大使(アンバサダー)」となってほしいと呼びかけています。「山形には何もない」のではなく、「仕事終わりにスキーや温泉が楽しめ、文化が豊かで、プラスアルファの楽しみがある街」であることを口コミで伝えてほしいと訴えています。
東京は家賃が高騰しており、山形で暮らす方が自由に使えるお金や時間がはるかに多いという事実を、特に高校生などに積極的に発信していく必要があります。
市役所職員は「市長の分身」であり、担当分野外のことでも連携して対応する「総合窓口」の役割を担うべきと思い、市民からの相談に対し、「耳を澄ます」「大きく頷く」「質問攻めにしない」というルールを設け、全職員に研修を実施。また部下からの報告・連絡・相談に対し、上司は「お:怒らない、ひ:否定しない、た:助ける、し:指示をする」を徹底。この文化が、市民からの提案を実現する土壌となっています。
山形市消防本部では厳しい指揮命令系統がある消防現場でも、若い職員の気づきを改善に繋げるプロジェクトを推進。救急救命士の研修機会創設や、タブレット導入による情報共有で平均3分の時間短縮、消火栓情報のデジタル化などを実現しました。
地方は課題発見・解決や非認知能力の鍛錬に適し、余白が主体性・関係性を育む。
東京規模では難しい施策も地方では実行可能。東京一極集中から多極分散国家の再興に山形がモデルになり得ると思います。
本日はありがとうございました。
終
講話を聞いて。
昨年はバレンタインデー前日、今年も直後のご講話で予定させてもらいました。
多くの資料を作っていただき想いが強いことを実感しました。資料のページ数はなんと136ページに及びます。時間の関係上、すべてを深堀りいただくことはできませんでしたが、にこやかな表情で要点を踏まえ説明してもらったことで副市長のビジョンが理解できました。

その中で幾度と出ました「万物生々(ばんぶつせいせい)」=物はこれを生かす人に集まるという教えですが、進行中の市政プロジェクトにぴったり当てはめられたことで尚更理解度が深まったと感じました。朝食会でも補足や話しきれなかった話題を終始にこやかに話されました。山形暮らしを満喫されている様子は山形市出身の我々は誇りに思うことではないかと思います。逆に井上副市長から見た山形市のおすすめを3月25日に開催されます当会イベント「HIZATSUKIわっしょい」で聞いてみたいと思います。

申し込みフォーム:https://forms.gle/2xb2X1fFHMWGkSdTA
現在絶賛参加者募集中ですのでブログをご覧の会員さんはぜひご検討ください。
本日は貴重なご講話ありがとうございました。
それでは皆さん、本日も彩りのある1日にしてまいりましょう!
本日のモーニングセミナー参加人数:37名
次回のご案内
2月26日(木) 6:30~ 山形国際ホテル6階
講師:山形県倫理法人会 研修委員長 桜オフィス 代表 高橋奈美恵氏
テーマ:「人材育成の2つの極意」~落ちこぼれ幹部自衛官が安倍元総理に堂々と謁見できた理由~」

