2023.06.12
14-2. 元保護犬クリ
保護犬の多くが新たな人や環境に慣れにくいことを聞いていましたが、クリも多分に漏れず、母の手からおやつを食べるのに1カ月半、抱っこさせてくれるまで2カ月、母が名前を呼んで近くに来るまで1年かかったそうです。
クリが母の家族になって4年の月日が経ちましたが、未だに母以外の人を怖がって名前を呼んでも近づいてきてくれません。
最近は人間の心を癒す目的でAIロボットも開発され、その進化には驚くばかりですが、それでも命あるものの温もり、一緒に過ごす時間と共に近づいていく人とペットの心の機微を再現するには長い時間を要するでしょう。
ペットの食欲が無いと言っては心配し、便秘が治ったと言っては喜び、時には怒り時には笑い、愛し愛され、やがて訪れる別れに涙する。
尊い命と向き合ってこそ湧き上がる人間とペットの感情の交差はかけがえのない感謝に満ちたものだと思うのです。
「クリ、いつか私が名前を呼んだら尻尾を振りながら近くに来てくれるかい? その日を楽しみにしているよ。」