2026.03.13
2026年3月12日モーニングセミナー
2026年3月12日
第726回 経営者モーニングセミナー
講師:県立高校美術科非常勤講師 喜早洋介氏(きそうようすけ)
テーマ:これからの山形を創るのは誰か。大人が楽しめば、若者は自ずと育つ。
ブログをご覧の皆さま、こんにちは!
本日のモーニングセミナーは、県立高校美術科非常勤講師 喜早洋介氏よりご講話いただきました。
参加できなかった会員様、入会を検討している未会員様に講話内容を通し倫理の魅力を少しでも感じていただけたらと思い、講話内容と私の感想を添えた形でお伝えします。

プロフィール、1973年横浜市生まれ。20歳で東北芸術工科大学入学(第3期生)を機に山形に在住し30余年が経つ。現在、県立高畠高校/県立置賜農業高校/県立長井工業高校、3校の美術科非常勤講師をしており、その他にも『月イチ山形蕎麦っ喰い』(原則毎月第2日曜日)、『ローカル線プロレス』、美術系大学合同進学相談会『びだびだ山形』などの企画・運営をしています。
芸工大の学生時代は、様々な地方から集まった個性的な先輩方に大きなカルチャーショックを受ける毎日でした。そんな学生生活を通してそのまま山形で生活し続けることを選び、気づけば横浜時代を超え現在に至っております。

これまでに影響を受けた人物
① 本庄季郎氏:母方の祖父
宮崎駿作品「風立ちぬ」に主人公堀越二郎のライバルとして登場した「本庄」のモデル。東大から三菱重工に勤務し、日本の航空機設計の第一人者として歴史に名を残しました。祖父は飛行機の機体や翼を「美しいだろ〜?」とよく見せてくれました。その言葉が今でも耳に残っています。地位も名誉も手に入れた祖父でしたが自分が好きなことをとことん追求する姿が印象強く、私にとってとても大切な人物です。
② 水谷修氏(高1の担任)
のちに「夜回り先生」として一世風靡した先生が担任でした。教員でありながら制服廃止運動を起こすという行動に、「学校」・「教員」に対する固定観念を破壊され、心をわしづかみされました。社会科の授業も経験談に富んだ内容でワクワクすることが多く非常に影響を受けました。36年経った今でも関係性は続いております。
この2人は楽しそうに生きていました。私も楽しく生きる実践者であり続け、その姿を若者に「いいだろ〜?」と見せつけるひとりの大人でありたい。また、美術やデザインの学びを欲する若者にはできる限りのサポートをする人間でありたい、と思っています。
今、県立高校3校で非常勤講師をしてますが「偏差値教育」の中では絶望している高校生が少なからずいます。どうしてこの学校を志望したのかを聞くと、「勉強できないからここしかなかったでーす」との回答。ペーパーテストの結果が多少良くなかっただけで絶望している子を見るととても悲しくなります。国・数・英・理・社のペーパーテストで全てが決まるような教育、優等生観を変えていかない限り、日本のさまざまな問題は解決しないのではないかと強く感じています。

また教員採用に関しても美術科の優先順位は最も低い部類。県内高校の約半数が、教諭を配置せず、非常勤講師1名体制です。中学も非常勤講師化が進んでいます。常時詳しい人がいない学校とはすなわち、美術やデザインに興味をもつ子が、さらに探求したいと思ったとき、的確なアドバイスを与える機能を持ち合わせていない学校だといういうことです。「図工」や「美術」は、絵や彫刻が上手くなる術を教わる科目ではなくて、思い描いた理想を具現化するために試行錯誤する時間です。これが伝わっていないと感じます。まるで余計な科目との認識です。
母校での教育実習での失望から、学校外での教育の実践へ思いがシフトしました。仙台の美術予備校における夏期講習講師の経験から山形に美大受験指導の場をつくる決意をしました。2000年に山形で美術系大学受験予備校『やまがた芸術倶楽部』を開所し、2017年に閉所するまでの17年間で156名の合格者を輩出することが出来ました。少子化と入試の多様化で受講生が減るなかで年1回の美術系大学を集めた合同相談会イベント『びだびだ山形』を立ち上げ、若者の「やりたい」を具体的に支える取り組みとして『やまがた芸術倶楽部』を閉じてからも継続して開催しています。『びだびだ山形』のなかでは、中高生が山形県出身の先輩クリエイターに出会う機会として「クリエイター講演」も行っています。
活動紹介①:蕎麦の食べ歩き
学生時代から近所に蕎麦屋さんが多くあることが気になり食べ歩きをし始めました。どこも美味しく、さらに食べ比べていくといろんな味わいがあることを知っていきます。大学院生時に100軒を超え、蕎麦屋ランキング冊子を制作・販売しました。
2017年には県内だけで253軒食べ歩きました。山形の蕎麦には定型がなく、白い・黒い・細い・太いさまざまなスタイルのお店があります。これは蕎麦は庶民の食べものだからなのでしょう。毎日でも食べ飽きないものが美味しいというのは人間が生活する上ですごく幸せな条件だと感じています。これが私が山形にいる理由のひとつです。現在は、月に1回県内のどこかの蕎麦屋に集まって食べる会『月イチ山形蕎麦っ喰い』を主宰し、先日3月8日に南陽市の『みづき庵』にて69回目の定例会を実施したところです。
活動紹介②:ローカル線プロレス
「日常にあらわれる非日常」をテーマに企画。今まで8回開催。のどかな田園を走るフラワー長井線車内に筋骨隆々のプロレスラーが乗るだけで列車が非日常空間になります。提案当初は怒られるのではと慎重になって準備を進めていましたが「こんなに面白い話題をフラワー長井線に持ち込んでくれてありがとう」と言われ、むしろ驚きました。やるとなったら思い切ってやる。裏のテーマは「大人の本気の悪ふざけ」。チラシ・ポスターなどのメインビジュアルはフラワー長井線の中にプロレスラーがいるようなシチュエーションを相撲画家の木村浩之氏に描いてもらい、チャンピオンベルトのエンブレムは自分たちでデザインしたものを(株)天童木工に製作してもらいました。オール木材で作られた、おそらく世界で唯一のベルトだと思います。
活動紹介③:「やまがた芸術倶楽部」と「びだびだ山形」美大進学サポート
美術系大学受験指導予備校として『やまがた芸術倶楽部』を主宰。デッサンや色彩構成、プレゼン練習などの実技試験対策を毎日指導していました。並行して美術系大学を集めた合同進学相談会として『びだびだ山形』を企画。東北芸工大はもちろんのこと、全国にさまざまな美大はあっても、中学高校に美術教員が少ない以上、子どもたちが美大を知るきっかけが無いのです。それを知ってもらったうえで、自分が本当に学びたい環境を選んで準備をしてもらいたい、という思いです。
美術やデザインの学びで得られるもの
・ものの本質的な魅力を見出す眼を育む
・世間の流行にはとらわれない独自の価値基準を身につける
・見出した魅力をより強調・精錬したかたちで発信する

「図工」や「美術」は想い描いた理想を具現化するための試行錯誤する時間です。ですが日本の学校教育においては、「安定した職に就くために勉強しろ!」が優先されます。職に就いたとしても、どんな仕事をしていても、人生には必ず大きな壁が立ちはだかります。「好き」こそが壁を乗り越える力だと思います。もっと「好き」「楽しい」「遊び」を肯定すべきです。
大人が楽しそうに生きていなければ、子どもたちはどう夢を見たらいいかわかりません。大人が楽しく生きて、その姿を若者に「いいだろ〜?」と見せつけられる存在でありたい。また、美術やデザインの学びを欲する若者にはできる限りのサポートをする人間でありたい、と思っています。
本日はありがとうございました。
終
講話を聴いて
喜早さんは1973年生まれですので私より1つお兄さんです。東北芸工大入学を機に山形市に住み始め30年以上。県内蕎麦屋を食べ歩き、学生時代にはランキング本を自費出版、2017年には年間253軒ものお店を訪ねたそうです。
現在は3つの県立高校の美術の授業を担当しながら、美大進学志望生の進学サポートをされているお話しがメインでした。『びだびだ山形』のネーミングは「美大=びだい」と山形弁で液状のものに浸る状態を表す「びだびだ」を兼ねてつけているということも教えていただきました。お話を聞いて、確かに日本にはさまざまな美大がありますが美大を知るところが無い!ということに納得。そこをサポートしていることを知り、ご自身の経験談を取り入れサポートを受けた生徒さんは、自分の進学先をより鮮明にし励むことが出来ているのだろうと容易に想像ができます。まさに、かゆいところに手が届く活動をされていると強く感じました。

また、フラワー長井線の『ローカル線プロレス』においては、始めた当初は暗中模索で不安先行のなか突破口を開き、活動をいままで8回も続けたことで話題・ニュースとなり相当の地域貢献につながっていると感じます。
喜早さんの先祖は村山市にゆかりがあることも朝食会で教えてもらいました。
講話中・朝食会とも常ににこやかに話されあっという間に時間が過ぎ楽しく・実のある時間となりました。今後もますますのご繁栄をお祈り申し上げます。
貴重なご講話ありがとうございました。
それでは皆さん、本日も彩りのある1日にしてまいりましょう!
本日のモーニングセミナー参加人数:22名
次回のご案内
3月19日(木) 6:30~ 山形国際ホテル6階
講師:一般社団法人倫理研究所 顧問 ㈱でん六 代表取締役社長 鈴木隆一氏
テーマ:朝は光ってる
本ブログの講話内容記載で誤り等がある場合は、HPお問い合わせ又は事務局
ycrinri@gmail.comまでお申し出ください。

