子供達に学びと居場所の選択肢を

山形県天童市で熱い気持ちを持って新しく「令和の寺子屋」を開設した方の紹介です。

布施：自己紹介をどうぞ

terra代表理事工藤美季さん（以下工藤）：２０２１年３月まで公立小学校の教員をしていました。フルイド(流動性ある・流れるような)スクールや放課後居場所で子どもや保護者先生のサポート、個人事業tsunaguで研修講師をしています。

布施：まずははじめに、terraの説明をお願いします

工藤：２０２２年１０月に、tsunaguで行っていた、子どもに関わる事業をより広く行うために設立した一般社団法人です。主にフルイドスクール：選択できるプログラムのあるマナビバ・居場所、放課後居場所tsunagu♡spaceを運営しています。また、子どもたちを取り巻く保護者の相談や先生方サポートも同時に行っております。

現代のてらこやを天童に作る

布施：terra発足の背景は？

工藤：当初は個人事業の中でterra―koyaプロジェクトとして行っていたんです。しかし、教育委員会や学校と情報を共有していくためには、個人事業では本当に厳しくて。しかし不登校といわれる子どもたちはどんどん増えていく。実際の数は報道よりもっと多いんです。当該活動に対して社会的認知を抱いてもらうために、２０２２年１０月に設立しました。実走して分かった事が多数ありましたが、非営利にならないと助成金の申請も出来ない事もわかり（笑）。フリースクールは公的な補助がないですから、運営資金は大事です。

布施：実際に生徒さん達は、どんな活動をしていくんですか？

工藤：フルイドスクールはプログラムがありますが、それを選んでもよし、選ばず自分のやりたいことに没頭してもよし。自己選択自己決定ですね。やらされる環境じゃなく、自分のやりたいことを見つける事が、terraの活動理念でもあります。子供達はシンデレラの劇をしたいとシナリオを書いたり、ダンボールでドールハウスを作ったり、切り絵にチャレンジする１年生もいます。カッターも上手に使っていますよ。

不登校という自主性をどう活かすか

布施：布施：多様性を謳う時代ですが、学校に行かない選択に対して世の中は厳し目ですよね。

工藤：「フリースクールなんかいったってしかたない。」「遊んでばかりいる」「学校に行かないと・行かせないと」という声もある中で私たちは活動しています。今までの一般的な学生生活もありますが、「学校へ行きたくても行けない」や「行っても顔だけ出して、別室にただいるだけ」という子どもの学びは、浅いものになってしまいます。それならば学校とは別の場所で、社会性と教育・そして自発性を育む必要があると考え、地域へ私たちの活動を浸透させたいと願っています。

布施：運営していくにあたり、課題になっていることはなんでしょう？

工藤：まずは情報がなかなか伝わらないこと。委員会や学校からの紹介が難しいですから。そして運営資金。公的補助がないため月謝と寄付や賛助会費で運営しています。企業様と業務提携するプランも現在動き始めていますがまだまだです。あとは場所ですね。もう少し広い賃貸物件があればいいのですが、値段との折り合いが難しいところです。

子供達へ、自分らしい居場所と学びの場を

布施：terraに通う生徒さんのクリエイトパワーには、無限の可能性を感じます

工藤：開設当初の話ですが、面白いことに朝のスケジュールを決める時、子供達が「何したらいい？」と聞くんですよね。決めてあげようかというと、断固拒否（笑）。自分でやりたいことを探していく、そしてこれっと思った時の集中力がすごい。先日は話の流れから、５トンがどれ位の重量かをひたすら計算し始めたんです。普段は算数なんて絶対しないのに。スクールに「楽つみき」というものがあるんですが、突然神社を作り始めたりというときもありました。今も火の神様が祀ってあります。やらされる環境じゃない、自発性から出てくる発想力は無限大です。

布施：最後に皆さんへ一言どうぞ。

工藤：「受け皿でなく選択肢を」この多様な時代。子どもたちが学びの場所を、

学びを選択可能になれば「不登校」というカテゴライズは必要なくなります。ぜひterraの活動を応援してください。